アドラー心理学とは

例会の報告

1月の例会

【午前の部】

1月ですので、総会のあと、例会がありました。
午前の部は女性3名男性4名の参加でした。
はじめに、新しく参加された方がおられましたので、自己紹介のあと、エピソードをそれぞれ出しました。
「勇気づけの歌」をみんなで読みました。

その後、今回新しく参加された方のエピソードを話し合うことになりました。
娘さん2人がおられるお母さんです。
知人から、お下がりのかわいい洋服をたくさん送ってこられたそうで、夏の服なのに、下の娘さんが喜んで「着たい!」といって困られた、とのお話でした。

今回は、エピソード分析はせず、
パセージのテキストも少し参考にしたり、
娘さんのストレングス、お母さんのストレングス、
ご家族のストレングスをみんなで話し合って出しました。

ある場面での、そこに居る人たちには、パーソナルストレングス、良い意図は必ずあるのですが、一人ではなかなか思いつかないと思います。
今回、それを自助会のメンバーのアイデアでたくさん出すことが出来た会になりました。

【午後の部】

(報告1)
参加者は4名。カウンセリング演習を2例行い、私はカウンセラー役、クライアント役をさせていただきました。(いつも練習する機会を下さり本当にありがとうございます。)エピソードの詳細は割愛し、カウンセラー役を通じての感想を報告いたします。

 クライアント役さんの事例はご両親との関わりについてのご相談でした。
 前回の演習で、『エピソードを聴いた時にある程度の方針を持つ。何が起こっているのか、どのタスクなのか、どう解決するべきなのか、どの対処行動を変えたらうまく流れるのかなど、その方針に基づいて背景情報を収集する。』と教えていただきましたので、今回は主に方針を決めて進めることを課題に、質問を重ねていきました。その結果、「相手役が誰で、何に困っているのか」までは聴き出すことができたのですが、「どの対処行動を変えて、クライアントがどう動けばいいいのか、何ができるのか」という代替案までは考えが及ばず、お持ちいただいたエピソードで安易に分析しようとしたためにストップがかかってしまいました。

 シェアリングでメンバーさんから、

・このエピソードでは(私の立てた)方針に基づく代替案を導くのは困難。相談目標(=何を解決するのか)を明確にして、それに合ったエピソードをとる必要がある。
・クライアントの困り事についてはしっかり押さえていたものの、相談目標が明確になっておらず、「この相談で行きましょう」がわかりづらい。相談目標が明確であれば、ご両親に対して何ができるのかについて、クライアントから案がたくさん出てくるはず。
・クライアントの感情(不安)の正体を明らかにすれば、エピソードの中で何が起こっているのかがもう少し見えてくるかもしれない。

とご指摘を受けました。
 上記を踏まえ感じたことと、私なりの対策案を下記の通り考えてみました。

①相談目標を明確にできないのは、私に代替案となるべき知識や経験が圧倒的に少ないから。
→多くのエピソードに触れ、演習の場数を踏む。また、アドラー心理学の知識や技術を日常生活の中で実践し、劣等の位置から平等の位置に戻る経験をたくさん積む。
②私が代替案を想定して導かないといけない、と思いすぎている(タテの関係)。
→クライアントを信じる勇気が必要(ヨコの関係)。また、目標をしっかり言葉にし、クライアントと一緒に考えるという意識を持つ(共同の課題)。
③エピソードの中で何が起こっているのかについて掴みきれていない。
→感情や用語の内容も押さえる。また、日常からその意識で物事を捉える訓練をする。
④エピソード分析の手順について、なんのためにやるのか、意味を考えてやってない。
→それぞれの手順や用語の意味をきちんと理解し、意識して行う。
⑤(録音したものを聞いてみると)方針に向けて質問していたつもりだが、時々余計なことを聴いている場面もあり、クライアント役さんを混乱させた(疲れさせた?)かもしれない。
→必要最低限の質問ができるよう、目標をしっかり見据え、頭の中で整理して組み立てる。

今回教えていただいたことをまた次に活かしたいと思います。
メンバーさんのご協力にはいつも本当に感謝しています。ありがとうございました。

(報告2)
午後からは、カウンセリング練習を行いました。私がカウンセラー役を務めた際に学んだことを報告させていただきます。
前回と同じクライアントの方の職場の事例を扱ったため、背景情報の確認をスムーズに進めることができ、50分という時間内でエピソード分析から代替案の検討まで到達できました。クライエントの構えも前向きに変化しており、既に自分で解決策を検討されているなど、展開はスムーズでした。その一方で、クライエントや相手役の「良い面(ストレンクス)」を十分に引き出し、活用するまでには至らなかった点が、今後の反省点として残りました。
今回の演習では、メンバーからのご指摘もあって、技術面で非常に重要な気づきが3点ありました。
1. 「態度の影響力」
 初対面の相手に対して、例えば腕を組むといった何気ない仕草が影響を与えてしまうというご指摘を受け、自己の振る舞いを客観視することの重要性を痛感しました。
2. 「ホワイトボードに書く内容」
 板書は単なるメモではなく「クライエントと共有する」という意図を持って厳選して書くべきであり、自分が覚えるためのメモとは明確に区別する必要がある、と学びました。
3. 「手順の明確化」
 すぐにエピソードを聞くのではなく、まず「何に困っているか」「どう解決したいか」という相談目標を明確にし、クライエントがどの価値観に引っかかっているかを見定めてからエピソードに入るべきだという、手順における課題が見つかりました。

今回の学びは、カウンセリングの場に限らず、日々の仕事や生活にも直結すると強く感じています。自分が人に見られているという意識や、相手が何を求めているかを察知する姿勢は、職場での利用者対応や同僚との関係構築そのものだと再認識しました。常に「自分が今やるべき仕事(責任・Responsibility)」を問いかけ、それに対し具体的な行動で応えていく姿勢を、明日からの実生活で意識し、実践していきます。
最後になりましたが、京都アドラーグループのみなさん、今回も共に学んでいただき、ありがとうございました。

2月の例会

(報告1)
参加者は午前6名、午後5名。午前午後を通してカウンセリング実習を3例行い、私を含めたカウンセラー志望の3名がそれぞれカウンセラー役、クライエント役をさせていただきました(ご出席された方々の寛大なご対応に感謝いたします)。
私が実習を通して学んだ事、感想などを報告させていただきます。

【2】「私的感覚を緩める」方針で代替案を考える
事例のうち2例がこの方針でした。前項【1】③④⑤にあたる部分として、今回は私的感覚を緩めるための具体的な手段を学ぶことができました。
まず、仮想的目標をしっかり出す(思い切り競合的にする)ことと合わせて、クライエントの構えを変えるために、
・相手の適切なところを一緒に考え、相手の善意に気づいてもらう(落としてもらう)。
・クライエントの適切な所やストレンクスをあげる(クライエントに寄り添った言葉がけ)。
・私的感覚を使う(プラスを下げる方向で、マイナスの良い面を考える)。
・クライエントが大切にしている考え方、用語を言語化してもらう。
という方法があり、エピソードによってこれらを選んで使うのだと整理がつきました。
今後、同じような方針を立てることがあれば、実践してみようと思います。

【3】相手に寄り添って考える
シェアリング時の会話の中で、メンバーの方々が相手に寄り添ってお話しされていることにふと気がつきました。ご自身の経験をお話しくださったり、相手の立場や思いを言葉にされたり、時には厳しい指摘をしてくださったりと、相手を勇気づけることを目的に、ご自身のできることで言葉を選び発言されているように感じました。
そういえば私に仰ってくださった時、救われたような気持ちや勇気、安心感、信頼、感謝、温もりなど、いろいろな思いが込み上げたのを覚えています。
どうすれば勇気づけることができるかをいつも考えて、横の関係で相手に寄り添い言葉にする姿勢を手本とし、自分の体の感じを思い出して、私も常にクライエントに寄り添えるカウンセラーになりたいと思いました。

積極的に学べる場がある、教え諭しお手本になる先輩方がいらっしゃる、ともに研鑽を積む仲間がいることは本当にありがたいです。今回学んだことを習得できるよう、皆さんの力を借りて日々実践して参ります。ご参加くださったメンバーさん、ありがとうございました。

(報告2)
1. 事例の概要
今回の練習では、これまで何度か練習相手を務めてくださったことのあるメンバーがクライアント役を担当してくださいました。いままで、職場の事例を扱うことが多かったのですが、今回は「妹との関係」という新しいテーマが提示されました。相談内容は、妹さんとの間で繰り返される感情的なやり取りの中で、感情的にならずにうまく付き合っていくことを目指すものでした。
2. カウンセリングの振り返り
(1) 情報収集 妹さんとの関係性だけでなく、母親との関係性についても質問を行いました。これは、将来的に姉妹が協力する必要が出てくることを見越した意図的な問いかけでした。しかし、自分の中では、「もっと深く聞くべきだった」という反省点がありました。メンバーからは、過去の姉妹間の競合関係を探る方向もあったと指摘いただきました。
(2) 目標の一致 クライアントから「感情を持たずに付き合いたい」という希望が出されましたが、メンバーからカウンセラーとして「それが適切な相談目標なのか」という疑問が生じました。カウンセリングの初期段階で、クライアントとカウンセラーの間で目標のすり合わせを厳密に行い、合意形成することの重要性を痛感しました。
(3) ライフタスク、仮想的目標 エピソードの中で、感情が「驚き」から「怒り」へと変化し、葛藤が高まる最初の場面を分析対象としました。 この箇所をライフタスクととったのはよかったのか、ということについて、振り返りにおいてメンバー間で議論になりました。 仮想的目標においては、クライアント自身の学習が進んでいたこともあり、カウンセラーが介入せずとも「相手にやってほしいことを大げさに言ってみる」というコツを用いて、クライアント自身でプラス5の目標を導き出すことができました。
(4) 私的感覚 私的感覚を出す前段階でライフタスクにおける思考を出してもらいました。そこには明らかに核心となる思考(4つ目)が見えていました。しかし、手順通り「どれが一番気になりますか?」と聞いてしまったため、メンバーからは「明らかに重要なものが分かっている場合は、手順を省略して核心に触れても良い」との助言を受けました。 つづいて、私的感覚を出すときに、「自分の意見を押し付ける」というマイナス面に対し、プラス面をクライアントから出た「自分のことは自分でする」という言葉を活かすか、文脈的に使いやすい「相手を尊重して任せる」を採用するかで迷いがありました。 また、マイナス面の「意見を押し付ける」を「客観的に見ている」と良い面に言い換えるルートもあったというメンバーの助言もいただきました。
(5) 代替案の検討 カウンセリングは時間切れで終了しました。それまでの代替案の模索において迷走しました。当初、妹さんの一般的な「良い面」を探しましたが、メンバーからのフィードバックにより、「このエピソードの中での妹の良い面」を探すべきだったと学びました。 具体的には、妹さんは「客観的に見てアドバイスをしようとしている」という側面に気づくことで、「人は善意で行動するのだが、私の気には入らないこともある。それでも善意であるには違いなく、それがわかれば感謝もできるだろう。」という『勇気づけの歌(12)』へ導くアプローチが有効であったと考えられます。
3. 総括と今後の抱負
今回の練習を通じて、情報収集の深さ、目標設定の厳密さ、そして「エピソード内での肯定的な側面」を見つけ出す視点の重要性を学びました。今後は練習の場数を踏むとともに、職場などの日常場面でも、その場その場での相手の適切な側面を見つける視点を持ち続けたいと思います。今回も大変勉強になりました。大雪のなか、京都アドラーグループの皆さんありがとうございました!

(報告3)
久しぶりに参加しました。
カウンセラー役、クライアント役をさせていただき、また、皆さんのカウンセリングを見学、検討会に参加させていただき、たくさん学びがありました。

3月の例会

【午前の部】
午前の部は女性4名男性8名の参加でした。
はじめに、新しく参加された方がおられましたので、自己紹介のあと、エピソードをそれぞれ出しました。
「勇気づけの歌」をみんなで読みました。
その後、1人の方のエピソードを話し合う事になりました。

他の方とお話をされていて、未就学のお子さんが話しかけていたことに気付かれず、お子さんが怒ってしまったお話でした。

エピソード分析をして、仮想的目標をみんなで考えました。
結果、協力的な目標が出てきたと思います。

その後、ご本人から、お子さんが、普段はとても協力的なことや、これまでたくさん成長されたことなどのお話をくださりました。また、皆さんからも、お子さんやご本人の適切な側面や良い意図などを出しました。
お子さんがいい気分になることをするという方向ではなく、この場面でどんなことをお子さんに学んでほしいか、という勇気づけのアイデアも出てきました。
協力的な目標の時は、対処行動が変わるだけでとても素敵なお話になる体験や、陰性感情がある時にはできることが限られることも学べる機会となりました。

【午後の部】~参加者は6人

(報告1)
 カウンセリング練習にて、私はカウンセラー役をし、初めて夫婦関係の事例を扱いました。 構成や全体の流れを頭に入れ、落ち着いてカウンセリングを進められた点は自信になりました。カウンセラーが喋りすぎることなく言葉の分量も良いバランスで、特にクライアントの価値観である「私的感覚」を上手に引き出せた点は、メンバーからもポジティブな評価をいただきました。
 一方で、50分の時間内に着地点まで至らなかったことが大きな課題です。特に仮想的目標の特定や、対処行動の決定に時間を要しました。クライアントが妻さんに対して対決姿勢(競合的)にある状態だったにもかかわらず、無理に「協力的」な目標にまとめようと執着しすぎた面があります。
 また、クライアントに質問して考えを委ねすぎてしまう場面もあり、仮説を立てて方向性をリードする強さが必要だと痛感しました。これは私の「自分で決定せず人に任せる」という普段の生き方にも通じる部分であり、日々の実践から主張的であることを意識して直していきたいです。
 技術面では、クライアントが妻さんを「合理的」と表現した際、その言葉を早い段階で深掘りすべきでした。「合理的」という漢語は人によって意味が異なるため、大和言葉で具体化して認識を共有できていれば、その後の展開がよりスムーズになったはずです。
 また、難しい事例ゆえに私の表情が硬くなっていたという指摘もありました。「この人には解決する力がある」という信頼を根底に持ち、笑顔で「この人の味方をする」という尊敬の姿勢を表情に出していくことが大切だと学びました。
 夫婦問題の見立てについては、メンバーからその特殊性と難しさについて重要なコメントをいただきました。夫婦は親子関係のように一方が「譲る」ことが自然に起こりうる関係とは違い、対等ゆえに「譲り合わない」難しい関係性です。双方が独自の価値観(「早く済ませたい妻」と「落ち着いてやりたい夫」など)を持っており、自分から折れることへの抵抗が強いのが特徴です。また、感情的な「対決感」に陥りやすく、理屈では分かっていても自ら歩み寄って「自分の取り扱い説明書」を説明することは容易ではありません。中には「言い合うパターン」で関係が成立しているケースもあり、介入の是非自体がデリケートなテーマであると教えていただきました。
 今回の事例では、カーテン修理ひとつとっても「すぐ終わる」と思う妻さんと「時間がかかる」と思う夫さんとの認識のズレを整理し、話し合いのポイントに据える視点が重要だと指摘いただきました。
 相手を変えようとするのではなく、いかに自分の事情を相手に説明するかという「自分が変わる」アプローチに焦点を当て、先述のとおり自分の取扱説明書を提示する道すじもあったとメンバーからヒントを頂きました。
 また、なれそめから過去に遡って、未来にどのように向かっていきたいのかという、長い時間で考えてもらうという方法もあったと思います。
 それから、相手側の仮想的目標を推測するアプローチもあったのではとメンバーから指摘いただき、相手の立場から考えるというやり方も、必要だったと学びました。
 これを書いている時点で、葛藤解決の五つの方法を思い出す必要があると感じました。その方法は以下の通りでした。
 1、本来の目的を思い出す
 2、勝ち負けから下りる
 3、違いを認める
 4、長い時間を考える
 5、相手の立場から考える
 夫婦関係の葛藤を解決するためのこの五つの方法は、他の事例を自助会や学びの場で扱うときに、意識していきたいです。課題については、次回までに克服していきたいと思っています。いずれにしても、日々の実践で、意識をしていかなければならないと肝に銘じます。
 最後になりましたが、いつも一緒に本気で学んでくださる、京都アドラーグループのみなさんに、感謝申し上げます。

(報告2)
午後から参加し、カウンセラー役をさせていただきました。
エピソードは、夫さんとのやり取りでした。
最初、私自身、エピソードをうかがった時、このような筋道で進めていきたいという方向性はあったものの、私的感覚を出したところで、時間切れになってしまい、まず、時間の使い方の難しさを今回学ばせていただきました。
また、私的感覚を出す際、私自身がクライアントさんの私的感覚を誘導するような発言をたくさんしてしまい、クライアントさん自身に考えていただく機会をうばってしまったことに、反省しました。
そして、私的感覚を出した後、どのようにクライアントさんと平等の位置に向かうのかというところで、私は、いつも迷子になってしまうことも、気づきました。
先輩カウンセラーの皆さまや、一緒に学ぶメンバーの皆さまの意見や助言が、本当にありがたかったです。
日々の生活の中で、どれだけ平等の位置を意識出来ているかが、カウンセリングを進める上で、とても大切だということを、今回も感じました。
ありがとうございました。

4月の例会

【午前の部】

午前の部は女性5名男性3名が参加されました。
初参加の方はおられませんでしたが、初対面の方がおられましたので、それぞれご自身のエピソートと一緒に自己紹介や近況報告を話しました。
その後、『勇気づけの歌』をみんなで読み、自身のエピソードと照らし合せて話をしました。

1人のお母さんから、きょうだいげんかに関するエピソードをいただき、参加者全員で話し合いました。
内容は、3歳差の姉妹が最初は仲よく遊んでいたものの、けんかになり、下の娘さんがお姉さんの頭をたたいてしまったという出来事でした。

このエピソードをもとにロールプレイを行いました。
まず通常のやり取りを再現し、次にお母さんに妹の役割もされ、妹さんの立場からの気持ちや見え方を体験されました。
その後、みんなで妹さん・お姉さん・お母さんそれぞれの、「良い意図」や「適切な側面」をたくさん出しました。

さらに『パセージ』のテキストから、2-L「どんな場合に子どもは不適切な行動をするか」を参照し、今回の出来事が1~4のどれにあたるか検討しました。
特に、言葉でうまく伝えられないときに手が出てしまう妹さんの行動については、「2.不適切な行動であることは知っているが、どうすれば適切に行動できるのか知らない場合」に該当するのではないかと整理しました。
そのうえで、妹さんに適切な方法を学んでもらうために、親ができる関わりについて話し合いました。

きょうだいげんかへの対応は、介入しないことが基本ですが、手が出たとき(暴力)は別で、ケガを防ぐためにその場で止めます。その後、落ち着いて「仲良くできる」と言うまで距離をとるなどの対応(パセージプラス17-R)をし、行動の結果を子ども自身が体験できるようにすることも話題に出ました。さらに、事情を聴く際には「相手が悪い」という話になりやすい原因ではなく、「本当はどうしたかったのか」という目的を聞くこと(パセージ2-R)についても話題となりました。

今回のエピソードをお話くださったのは『パセージ』を未受講の方でしたが、今回の話し合いを通してその考え方の一端に触れる機会となりました。また、受講された方にとっても『パセージ』の学びやその良さを再確認する時間となりました。

【午後の部】

(報告1)
午後の部の参加者は5名(男性2、女性3)。カウンセリング実習を2例行い、私は1例のカウンセラー役をいたしました。今回学んだことは、方針を組み立てる上で重要な「エピソードの中で何が起こっているのか」を把握することです。

事例は、お母様のお誕生日をクライエント役さんの実家で家族とお祝いした時、場に相応しくない夫さんの行動に陰性感情を感じて、帰宅後に小言を言ってしまった、というエピソードでした。お持ちいただいた事例には「実家での夫さんの行動に陰性感情を感じた」前半部と「帰宅後に小言を言った」後半部の2つのエピソードが含まれていて、当初クライエント役さんは後半部のやりとりをお話しされていました。私もそれで分析しようと思い込み、前半部の状況把握を怠ってしまいました。

前回の実習で、方針の組み立て方として、

①エピソードの中で何が起こっているのか
 ・状況把握(前後のやりとりや人物相関、現場の状況など)
 ・周辺情報の収集(タスクの目的、葛藤の5段階のどれか、解決したいこと)
②どの行動を変えたらうまく流れるのか
③どんな風に解決に導くのか
④クライエントに何を学んでもらうのか

を教えていただき、私は後半部のエピソードで組み立てて進めていきました。

ところが、「夫さんとご両親はいつもどんなコミュニケーションをされていますか?」と質問した際、クライエント役さんは「はっ」という表情のあと雄弁に話しだし、「ひょっとしたら夫は私の実家では居場所を作れず、所属に失敗していたのかもしれない」と仰いました。この時クライエント役さんから前半部のエピソードはどうかと提案いただいたのですが、私は組み立てた方針に固執するあまり、話も聴かずそのまま後半部のエピソードで進めてしまいました。

もしここで柔軟な態度でクライエント役さんの認識反射に注目していれば、本当に解決すべきは夫さんの居場所ではないかという推測ができました。そしてお祝いの場でクライエント役さんが本当はどうなってほしかったのか、夫さんのご実家での過ごし方やご両親との付き合い方、訪問の頻度、ご両親の様子、クライエント役さんとご両親との関係性、などを聴くことで現場がよりリアルに見えて、クライエントや相手役に寄り添った代替案を一緒に考えることができたのかもしれません。シェアリングでメンバーさんからご指摘を受けて、こんな風に情報収集するのだと学ぶことができました。

エピソードの登場人物がどんなシステムでどう関わり動いているのかをしっかり把握することで、現場で起こっていることをリアルに押さえることができるのだとわかりました。一朝一夕にはできないと思いますが、今回学んだことを意識して場数を踏んで身につけていきたいと思います。

ご指導・ご意見くださったメンバーさん、貴重な事例を提供してくださったクライエント役さん、ありがとうございました。

(報告2)
私はカウンセラー役として練習に参加いたしました 。クライアントが解決したい目標として、「息子に自分の課題をなすりつけている、あるいは肩代わりさせてしまっている」という話がありました。「もっとちゃんと信頼しないといけない」という思いから、そのエピソードを扱うことになりました 。

お話を聞いていく中で、息子さんが学童で友達と揉め事があったという背景が出てきました 。クライアントは、その揉めた相手のお母さんから自分宛てに電話がかかってくるのではないかという心配をされていました。結論から言うと、クライアントが課題に感じていた感情の対象は「息子」ではなく「友達のお母さん」に向いているものでした。

しかし、その点をつかみきれないまま進めてしまい、相手役を「息子」に設定して進めてしまいました。相手設定の誤りに後で気づき、セッションは途中で切り上げという形になりました 。

今回の大きな反省点は、相手役が誰であるかをきちんと見極め、相談の目標を確認し、まずしっかりとお話を聞くという「基礎の基礎」ができていなかったことです。前回「スピードが遅い」という課題があったため、今回は早く進めようと意識しすぎていました。その結果、感情の聞き取りを十分にしないまま「見切り発車」をしてしまったのが、自分自身の「落とし穴」でした 。

練習後にメンバーからたくさんのアドバイスをいただきました。単にクライアントの話の流れに合わせるのではなく、カウンセラーが相談の「構造」を理解した上で意図を持って動いているかどうかが、重要だということでした。

また、相談の背景を知ることの重要性も学びました。12年間付き合いが続き、親が学校運営にも関わるという、逃げ場がなく距離が取りにくい特殊な学校環境であることを背景として押さえる必要がありました。

今回の練習は、クライアントの相手役は誰なのかを知ること、そのためにまず話を聴くこと。カウンセリングの原点に立ち返らなければならないという良い機会になりました。そして、「構造」を知るために、やはり場数を踏まないといけないな、と改めて感じました。

最後になりましたが、京都アドラーグループのみなさん、今回も貴重な勉強の機会を与えて下さり、ありがとうございました。